窓の断熱DIYはこれまでの章で繰り返し取り上げてきましたが、壁からの熱の出入りも、実は窓に次いで大きな割合を占めています。
結論として、賃貸でも試しやすい「貼ってはがせる」断熱ライナーから始め、持ち家で本格的にやるなら断熱ボードの後張りを検討する、という順番が現実的です。
壁からの熱損失、実は窓の次に大きい
部位別の熱損失割合で触れたとおり、冬に家から逃げる熱のうち、窓が最も大きな割合を占めています。

意外と見落とされがちなのが、その次に大きな割合を占めるのが壁だという点です。
窓と違って壁は「触ってもひんやりしない」と感じることが多く、対策の優先順位が低くなりがちです。
ただし壁の面積は窓よりはるかに広いため、断熱性能が低い壁は、じわじわと長時間にわたって熱を奪い続けます。
特に築古戸建ての外壁は、現在の新築基準に比べて断熱材が薄い、あるいはほとんど入っていないことも珍しくありません。
後張りできる壁の断熱グッズを比較する
壁の断熱を後から追加する方法には、大きく3つの選択肢があります。
断熱ボード(スタイロフォーム・EPSボード)を上から貼る
発泡スチロール系の断熱ボードを、既存の壁の上から接着剤やビスで固定する方法です。
数ある壁断熱DIYの中で、最も断熱効果が高い選択肢とされています。
ただし厚みが出る分、部屋がその分だけ狭くなる点、壁紙を貼り直す必要が出てくる点は事前に理解しておく必要があります。
調湿タイル(エコカラット等)は断熱より結露対策寄り
調湿タイルは湿気を吸放出する機能が売りの内装材で、断熱そのものを主目的とした製品ではありません。
調湿タイルは壁面の結露やカビを抑える効果が期待できますが、断熱ボードほどの保温効果は見込めません。
断熱そのものが目的なら断熱ボード、結露・カビ対策も兼ねたいなら調湿タイル、と目的で使い分けるのが基本です。
断熱効果のある壁紙・ライナー(貼ってはがせるタイプ)
裏面に断熱・保温層が付いた壁紙やライナーは、既存の壁紙の上から重ねて貼れるタイプが多く、賃貸でも比較的挑戦しやすい選択肢です。
断熱ボードほどの効果は期待できませんが、費用を抑えつつ体感温度をある程度改善できます。

価格の単位が畳・平米・ロットとバラバラでは比較しづらいので、6畳間の一面(約9㎡)に施工した場合の総額目安も合わせて見てみましょう。
| グッズ | 主な効果 | 目安単価 | 6畳間の一面(約9㎡)の総額目安 |
|---|---|---|---|
| 断熱ボード(後張り) | 断熱効果が最も高い | 1畳分で数千円〜1万円程度 | 約2万〜5万円程度 |
| 調湿タイル | 結露・カビ対策寄り | 1平米あたり数千円〜 | 約3万〜7万円程度 |
| 断熱ライナー壁紙 | 手軽だが効果は控えめ | 1ロット数千円程度 | 約6千〜1万円程度(2ロット目安) |
こうして総額で並べると、断熱ライナー壁紙が圧倒的に始めやすい価格帯で、断熱ボードと調湿タイルは同じくらいの予算感になることがわかります。
賃貸と持ち家で選べる範囲が変わる
断熱ボードをビスで固定する方法は、壁に穴を開けることになるため、賃貸では原状回復の観点から避けた方が無難です。
賃貸で断熱ボードを試す場合は、ビス留めではなく、剥がせる両面テープや専用の固定パーツを使う製品を選ぶことが前提になります。
退去時に壁を傷つけてしまうと、原状回復費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
持ち家であれば、ビス留めによるしっかりした固定はもちろん、より厚みのある断熱ボードを選ぶ、複数の壁面に一気に施工するといった、踏み込んだ対策も選択肢に入ってきます。
賃貸・持ち家×予算別、選びたい対策の目安
「賃貸か持ち家か」と「かけられる予算」を掛け合わせると、次のような目安になります。

| 条件 | 選びたい対策の目安 |
|---|---|
| 賃貸×予算1万円 | 断熱ライナー壁紙を1〜2ロット、まずは一面だけ試し貼り |
| 賃貸×予算3万円 | 断熱ライナー壁紙を複数面に拡大、または剥がせる調湿タイルを併用 |
| 賃貸×予算5万円 | 剥がせる固定パーツ対応の断熱ボードを一面、退去時の原状回復費用も見込んで計画 |
| 持ち家×予算1万円 | 断熱ライナー壁紙で様子見、効果を確認してから範囲を広げる |
| 持ち家×予算3万円 | トイレ・脱衣所など狭い壁面に断熱ボードを本格施工 |
| 持ち家×予算5万円 | 居室の壁面まで断熱ボードを拡大、または断熱ボード+調湿タイルの併用 |
予算が同じでも、賃貸か持ち家かで選べる工法自体が変わる点を踏まえたうえで、上の表を参考にしてください。
施工の難易度・DIY向き不向き
壁の断熱DIYは、窓の内窓DIYキットに比べると必要な工具や採寸の手間が少なく、比較的取り組みやすい部類に入ります。
一方で、ボードのカット精度が低いと隙間ができて断熱効果が落ちてしまうため、カッターやのこぎりを使った直線カットに慣れていない場合は、最初は狭い面積の壁で練習してから広い面積に挑戦するのがおすすめです。
初めて壁の断熱DIYに挑戦するなら、面積の小さい壁(トイレや脱衣所の一面など)から試すと失敗しにくいです。
慣れてから居室のような広い壁面に挑戦する順番がおすすめです。
壁は窓ほど目立たない分、後回しにされやすい場所です。
ですが面積の広さゆえに、放置し続けるとじわじわ効いてくる部位でもあります。
賃貸なら断熱ライナー、持ち家なら断熱ボードというように、住まいの条件に合わせて無理のない範囲から試してみてください。
今日のアクション
家の中で一番ひんやりすると感じる壁を1か所選び、断熱ボードか断熱ライナーのどちらが試しやすいか、賃貸か持ち家かの条件と照らし合わせて考えてみましょう。狭い面積から試して、効果を体感してから範囲を広げていくのがおすすめです。





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