このサイトはこれまで持ち家を前提に断熱DIYを紹介してきましたが、「賃貸だから断熱DIYはできない」と思い込んでいる人は少なくありません。
結論として、原状回復リスクの低いグッズを選び、固定方法を工夫すれば、賃貸でも断熱DIYの大部分は実践できます。
壁や窓枠に穴を開ける施工だけは避けるのが基本方針です。
賃貸で断熱DIYをする前に知っておきたい「原状回復」の基本
原状回復とは、退去時に部屋を借りたときの状態に戻す義務のことです。
ただし誤解されがちですが、これは「入居時の真新しい状態に戻す」という意味ではありません。
日照や経年劣化による自然な傷み(通常損耗)は、原則として貸主の負担とされています。
国土交通省が公表している賃貸住宅の原状回復に関するガイドラインでも、通常の使用による損耗と、借主の故意・過失による損傷とを分けて考える基本的な整理が示されています。
断熱DIYを検討する際も、この「通常損耗か、故意・過失による損傷か」という境界線を意識しておくことが出発点になります。
契約書・重要事項説明書で確認しておきたい項目
断熱DIYに着手する前に、手元の賃貸借契約書で以下の項目を確認しておくと安心です。
- 原状回復に関する特約の有無(通常損耗も借主負担とする特約が付いていないか)
- 壁・窓まわりへの釘穴・ビス穴に関する記載があるか
- 退去時のクリーニング費用・修繕費の負担区分
特約がある場合でも、内容が明確に説明され、借主が納得したうえで合意している必要があるとされているため、契約時の記憶があいまいな場合は、この機会に契約書を読み返しておくとよいでしょう。
「画びょうの穴」はよくても「ビスの穴」は避けたい理由
画びょうやピン程度の小さな穴は、通常の生活で生じる範囲として扱われることが多い一方、ビスやアンカーを使った穴は下地のボードまで達するため、借主の負担とみなされやすくなります。
断熱DIYグッズを選ぶ際は、「壁や窓枠にどんな痕跡が残るか」を購入前にあらかじめイメージしておくことが失敗を防ぐポイントです。

断熱DIYグッズ別、原状回復リスクを比較する
断熱DIYグッズは、固定方法によって原状回復リスクが大きく変わります。
代表的なグッズを、固定方法とリスクの目安で整理しました。
| グッズ | 主な固定方法 | 原状回復リスク |
|---|---|---|
| 隙間テープ・すきまパッキン | 粘着(貼るだけ) | 低い |
| 断熱シート(プチプチ系) | 水貼り・両面テープ | 低い |
| 床の断熱マット | 置くだけ | 低い |
| 断熱カーテン | 既存のカーテンレールにかける | 低い |
| 内窓DIYキット | 窓枠へのビス留めが中心 | 要注意 |

リスクが低く、まず着手しやすいグッズ
隙間テープ・すきまパッキン、断熱シート、床の断熱マットは、いずれも既存の窓枠や床を傷つけずに使えるため、賃貸でも特に取り入れやすい対策です。
これらは撤去も簡単で、粘着剤の跡が気になる場合も、シール剥がし剤などで対応できる範囲にとどまることがほとんどです。
要注意、賃貸対応かどうか必ず確認したいグッズ
内窓DIYキットは、標準的な取り付け方法だと窓枠へのビス留めが前提になっているため、賃貸ではハードルが上がります。
近年は、ビス留めではなく両面テープや専用の固定パーツで取り付けられる、賃貸向けをうたう内窓キットも一部登場しています。
こうした製品を検討する場合は、商品説明に「原状回復可能」「賃貸OK」といった記載があるかを必ず確認してください。
賃貸でも壁・窓枠を傷つけずに固定する工夫
断熱グッズの効果を高めるうえで、固定方法の工夫は原状回復対策と両立できます。
剥がせるタイプの両面テープを使う場合、先に養生テープを壁や窓枠に貼り、その上から両面テープを重ねる「二重養生」をしておくと、粘着剤が直接壁に残るリスクをさらに減らせます。
つっぱり式・置くだけタイプのグッズを優先すると、そもそも粘着剤や穴の心配自体がなくなります。
断熱カーテンや床の断熱マットは、この「つっぱり・置くだけ」の代表例です。

窓のサイズに対して少し大きめの断熱シートを選び、はみ出した部分を丁寧に切り取るようにすると、粘着面が窓枠にかかりにくくなり、退去時の手間も減らせます。
管理会社・大家に確認しておきたい場面
貼る・置くだけの軽微な対策であれば、事前確認なしで進めても大きな問題になることは少ないのが一般的ですが、契約内容によっては軽微な対策でも事前確認を求められることがあります。
一方で、内窓DIYキットのように取り付け方法に不安が残る場合や、壁面全体に対策を施したい場合は、着手前に管理会社や大家に一言確認しておくと安心です。
確認する際は、「こういう製品を、こういう方法で取り付けたい」と具体的に伝えると、可否の判断をしてもらいやすくなります。
退去直前になって慌てて剥がすと、経年劣化した粘着剤が壁に残ってしまい、かえって修繕費がかかることがあります。
年に一度など、定期的に貼り直しやテープの状態を点検しておくと、退去時のトラブルを避けやすくなります。
賃貸から持ち家への住み替えも見据えて
賃貸のうちに断熱DIYを経験しておくと、どの部位が特に寒いか、どのグッズが自分の暮らしに合うかという感覚が身につきます。
この経験は、将来持ち家に引っ越した際、より本格的な対策(内窓DIYキットのビス留め施工など)に踏み出す判断材料としても役立ちます。
防音ラボ(賃貸・防音対策)と当サイト(持ち家・断熱対策)、それぞれのサイトの位置づけの違いについては賃貸でもできる寒さ対策、持ち家だからできる寒さ対策の違いで紹介しています。
また、防音目的の対策もあわせて検討したい場合は、姉妹サイト「防音ラボ」でも、賃貸の原状回復を前提にした対策を扱っています。
賃貸だからといって、断熱DIYをあきらめる必要はありません。
貼る・置くだけの対策から始めて、必要に応じて管理会社に確認しながら、無理のない範囲で少しずつ寒さ対策を進めてみてください。
今日のアクション
手元の賃貸借契約書を確認し、原状回復に関する特約の有無と、壁・窓まわりへの釘穴・ビス穴についての記載をチェックしてみましょう。不安な点があれば、断熱DIYに着手する前に管理会社へ一言確認しておくと安心です。


コメント